投資

投資という敗者のゲームで負けない最良の選択はインデックス投資

長期投資を実践する上で読むべきとされる本はいくつかありますが、その中の一冊である「敗者のゲーム〈原著第6版〉」を読みました。

この本には、何に投資したらいいかということは書かれていません。しかし、この本には長期投資の本質的なことが盛りだくさんに書かれています。

本書は1985年に初版が出版されて以来、現在第6版まで改訂されながら長年多くの投資家に親しまれています。

このことからも初心者投資家にとっての必読本であることがうかがえます。

そして本章の第一章で次のようなことが述べられています。

本章で述べてきたように、「市場に勝つ」ことを目指して「敗者のゲーム」に参加すれば、 負けはほぼ見えている。 だからといって、悲観することはない。勝つ方法はある。長期投資の明確な目標設定に集中し、その目的を実現するために合理的かつ現実的な投資政策を 選択したうえで、その政策を、自己規律を持って、忍耐強く、しっかり貫いていくことである。これが、本書で伝えたいことのすべてである。


チャールズ・エリス. 敗者のゲーム〈原著第6版〉 (Kindle の位置No.322-325). 株式会社 日本経済新聞出版社. Kindle 版.

ようするに長期投資するなら、

  • 明確な目標設定
  • 目標に沿った合理的な投資政策を選択すること
  • 決めた政策をひたすら続けること

をしなさい、ということです。

これらについてつらつらと書かれているのがこの本の中身なのですが、「そもそも敗者のゲームってなんだ?」って思いませんか?

当然この本を読み始めてすぐに敗者のゲームとはなにかがわかるのですが、この本を読む前の僕は、このタイトルである「敗者のゲーム」の意味が全く分かりませんでした。

だからこそこの本に惹かれて読んでみたわけでもありますが。

そこで、敗者のゲームについての解説とそこから少し考えたことを記しておこうと思います。

「敗者のゲーム」とは?

僕はこの本の中身を読むまで、タイトルになっている敗者のゲームの意味が全く分かりませんでした。

「投資=敗者のゲームとするなら、敗者ってもしかして投資家のことか?つまり投資はやめとけとか書いているのかな?でも、多くの長期投資家がこの本を読んでいるから、投資はするなとは書かれていないだろうしどういうことなんだろう?」

と考えていました。

結論から言うと、ここでいう敗者というのは、市場に勝つことを目指して投資を行う人たちのことです。

それではそもそも敗者のゲーム、勝者のゲームとはなんでしょう?

投資以外の具体例を出してもう少しわかりやすく考えましょう。

よくある例はプロのテニスとアマチュアのテニスについてです。

プロの試合とアマチュアの試合は、ルール自体は同じですが、勝つために重要なことが全く異なるゲームです。

一流のプロの試合ではミスをすることは少なく、どれだけ相手が触れられないようなナイスショットを打つかで試合が決まります。このように勝つために行ったプレーで結果が決まるゲームを勝者のゲームといいます。

一方で、アマチュアの試合ではミスが多く、試合の結果は如何にミスが少ないかで決まります。このように敗者がいかにミスを重ねるかによって結果が決まるゲームを敗者のゲームといいます。

つまり、敗者のゲームとはミスによって試合が決定してしまうゲームのことです。

先ほど、投資において敗者=市場に勝つことを目指して投資を行う人たちのことと述べました。

投資が敗者のゲームであるというならミスをしないように立ち回る必要があるということです。

つまり、投資では市場に負けないように運用し続けることが重要だということです。

そこで市場を忠実に反映する運用を行うインデックス投資を行うべきだということです。

投資は本当に敗者のゲームなのか?

インデックス投資家からすれば投資は敗者のゲームに見えるでしょう。

ただ、実際には個別株やアクティブファンドで儲けている人もいるわけで、その人たちからみると投資は勝者のゲームに見えているのではないでしょうか?

確かに一部の個別株投資家やアクティブファンドは市場平均を超えるリターンを得ることができているでしょう。

しかし、現実は厳しいものです。

伝統的に資産運用の世界では、市場に勝つことができるという信念が支配的だった。しかし 時代は変わり、今日ではこの前提は、プロの運用機関にとってさえあてはまらない。年間成績では約6割のマネジャーが市場平均を下回る。10年では7割、20年では8割のマネジャーが市場に負けている。


チャールズ・エリス. 敗者のゲーム〈原著第6版〉 (Kindle の位置No.202-205). 株式会社 日本経済新聞出版社. Kindle 版.

つまり、アクティブファンドマネージャーの多くは市場平均を上回る成績を残せていないということですね。

平均的には市場が勝っているということなので、投資は敗者のゲームといっても問題ないでしょう。

アクティブファンドは悪なのか?

長期投資向けの本を読むとアクティブファンドが絶対悪かのように書かれていることが多いです。

上記のようにアクティブファンドは市場平均に勝てていないファンドマネージャーが多いことからもその発言が間違いだとは言えません。

しかしながらそれは結局投資目標の問題でもあります。

インデックス投資は市場を忠実に反映する運用を行っているので、市場と同様に成長していきます。

逆に言うと市場以上の成長は絶対にできません。

基本的に世界市場の成長は5-7%程度であり、10%を超える成長を期待するべきではありません。

つまり、長期的な投資をしなければ大して増やすことができないということです。

逆に短期間で資産を大きく増やしたい人に対してインデックス投資は勧めることはできません。

そういう人には、記のようにアクティブファンドマネージャーの多くは市場平均を上回る成績を残せていないというリスクを受け入れることができるのであれば投資先はアクティブファンドが向いているかもしれません。

そこで投資を始めるならまずはどのような目標をもって投資をするのかをよーく考える必要があります。

考えたうえでアクティブファンドを選択するならばそれは悪い選択とは言えません。

最後に

敗者のゲームとはミスをすることによって結果が決定されるゲームのことです。

投資もアクティブファンドマネージャーの成績を考えると敗者のゲームといって間違いないでしょう。

しかし、アクティブファンドが絶対悪ということではなく、結局は自分の投資目標次第で自分が投資すべき先は決まるのでよく考えることが重要であるということです。

ただし、僕はリスクを下げて長期的に資産を形成しようと考えているのでインデックスファンドを選択しています。

自分でよく考えて後悔しない選択をする必要がありそうですね。

参考

チャールズ・エリス. 敗者のゲーム〈原著第6版〉

ABOUT ME
ふにか
旧帝大を修士で卒業後、大手企業で研究職に従事。趣味は投資・読書・科学技術(特に半導体)・物理等々です! 2018年10月ごろから長期インデックス投資を始めました。
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