投資に関する本を読むとよく目にするのが、「株式に分散して投資をすることでリスクが抑えられる」ということです。
例としてよく出されるのが、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言です。
卵を一つのカゴに盛っていると、そのカゴを落とした場合に全ての卵が割れてしまいます。
一方で、いくつかのカゴに分けて卵を盛っていると、一つのカゴの卵は割れてしまいますが、残りの卵は無事です。
この格言と同様に株式投資においても分散して投資することによってリスクが抑えられるということです。
この格言を聞くとなるほど、できるだけ分散しておくことでリスクを低減できるように感じます。
ただ、これではリスクの発生要因や、株式投資においてなぜ分散投資することでリスクが抑えられるのかについてはよくわかりません。
また、この格言通りであれば限りなく分散し続ければ、リスクは限りなく0に近づくはずですが、どうもリスク0にはならないだろうと感じます。
そこで、株式投資におけるリスクについて調べてみました。
株式投資における2つのリスク
株式投資においては2つのリスク要因があります。
それが、以下の2つです。
- 個別リスク
- システマティックリスク
個別リスクとは?
個別リスクとは、その企業固有のニュースによって生じる株価変動のことです。
アンシステマティックリスク、ユニークリスクと呼ばれることもあります。
例えば次のようなニュースによる影響が個別リスクになります。
- 会社のCEOが引退
- 会社の倒産
- 製品の欠陥によるリコール
- 新商品の発表 etc
個別リスクはある企業固有のニュースであるため、分散投資することによってリスクを抑えることが可能です。
システマティックリスクとは?
システマティックリスクとは、すべての株式に同時に影響を与えるニュースによる株価変動のことです。
市場リスクと呼ばれることもあります。
例えば次のようなニュースによる影響がシステマティックリスクになります。
- 原油価格の高騰による生産費用の上昇
- 景気の減速
- 金利の引き下げ etc
上記の例からもわかるように、システマティックリスクはあらゆる企業の株価に影響を与えるので、分散投資によってリスクを抑えることができません。
個別リスク・システマティックリスク・典型的なリスク変動例
個別リスク・システマティックリスク・典型的なリスク変動についてわかりやすくするために図にしてみました。
下図は組み入れ銘柄数に対するリスク変動の変化のグラフになっています。
青線・赤線・黒線はそれぞれ次のリスク変動を示しています。
青線・・・個別リスク
赤線・・・システマティックリスク
黒線・・・典型的なリスク(個別リスク+システマティックリスク)
先ほど述べたように個別リスクとは、その企業固有のニュースによって生じる株価変動のことです。もし個別リスクしか生じない株のみで銘柄数を増やしていった場合、図の青線のようにリスク変動は限りなく0%に近づいて行きます。
一方でシステマティックリスクとは、全ての株式に同時に影響を与えるニュースによる株価変動のことです。もしシステマティックリリスクしか生じない株のみで銘柄数を増やしていった場合、上図赤線のように組み入れ銘柄数を増やしていってもリスクは一定のままです。
ただし、基本的にすべての株価は個別リスクとシステマティックリスクの両方の影響を受けます。
なので黒線のように銘柄数を増やしていくと個別リスク分のリスクを減らしていくことはできますが、システマティックリスク分のリスクは残り続けます。
「卵は一つのカゴに盛るな」に付け加えて
最初に「卵は一つのカゴに盛るな」という格言の話を出しました。
卵を一つのカゴに盛っていると、そのカゴを落とした場合に全ての卵が割れてしまいます。
一方で、いくつかのカゴに分けて卵を盛っていると、一つのカゴの卵は割れてしまいますが、残りの卵は無事です。
これが分散することによるメリットです。
しかしながら、もしも大きな地震が発生した場合にはすべての卵が落ちてしまい割れてしまうでしょう。
株式投資でいうならば、広く分散投資しておけば1つの会社の倒産が倒産しても大きな影響を受けないが、世界恐慌やリーマンショックのような市場全体に影響を与えることについてはリスク低減できないということです。
この市場全体に影響を与えるリスクに対してどれほど耐性があるのかを把握することがインデックス投資を続けるうえで重要であると言えそうですね。
最後に
株式投資におけるリスクは個別リスクとシステマティックリスクの2種類あり、個別投資は分散投資によりリスク低減が可能ですが、システマティックリスクについては分散投資をしてもリスク低減ができません。
インデックス投資においてもっとも難しいことの1つは投資を続けることと言われています。リスクについて理解しておけば、とある会社のバッドニュースに対しても無駄に不安になることはなくなり、投資を継続できる1つの好材料となりえると僕は考えます。
これからも投資初心者なりに勉強を継続していこうと思います。
参照
コーポレートファイナンス入門編第2版